20年間東京の都市、渋谷を拠点にカフェを経営・運営してきました。その間、本当にやっていてよかったという喜びと、何度もやめてしまいたいという苦悩に直面しながら、振り子のように喜怒哀楽を繰り返してきました。それはすべて、人と人との関わりあいから生まれた感情です。

自分を介す介さずとも、人にはじまり、人に終わる。けれども、そこに手間暇をかける人も、確かに存在する。それがマネジメントという仕事であるなら、こんなにも浮かばれない、やり甲斐しかない仕事もないと思います。

手間暇かける。手塩にかける。時間をかける。
というと職人仕事のようですが、そのクラフトマンシップを人との関係性に向ける仕事こそ、私が食を通じて実現しようとしていた世界観だと気づきました。それはたぶん、これからのスタンダードにもなりえる考え方でもあるでしょう。

実感できることだけが、人を輝かせる。
実感を伴うには、表層的な対処から離れ、根源を見つめ直すこと。

それを、食べることで表現すると、
大地や自然とつながっていることの実感。
季節のめぐりや、いのちをいただいているという実感。
料理を作ることは、究極の愛の表現であるという実感。
料理は素材と、食べてくれる人をつないでいるという実感。
食べ方は、生き方だという実感。

また人で表現すると、
日々日々、生ききっているという実感。
楽しさ、だけではない充実した日々を送っているという実感。
自分は大切な存在だという実感。
自立した意志を携え、能動的に関わっているという実感。

そしてこの「実感」にこそ「つなぎ手」が必要だと気づいたのです。

実際に土に触れ、担い手の仕事と心に触れ、大地の恵みである素材をいただく。有機的な心の栄養を摂ることで、実感が内から湧き上がり、今度は自らが他者を照らす存在であることを実感する。私たちはそんな循環に寄り添い、手助けできると思っています。そのことばかりを見つめて、やってきたからこそ。

そんなことを、ぜひ、一緒にやっていきませんか？

elemental life and society
塚本サイコ