WORKS & VOICES
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激動の時代。様々な観点からそう言われる現代社会ですが、時代がどう移り変わろうとも、わたしたちが社会的な生き物であることに変わりはありません。ひとは誰しも、個人という存在であり、且つ、何かしらの組織や属性を通して社会とつながっているものです。
「個性を大切に、自由であれ」と言うのは簡単ですが、社会性のある組織の中でバランスよく個を活かすには、どうしたらいいのでしょうか。
el&sの塚本サイコは、これまで飲食事業や音楽を通じた組織づくりの実績から「個の在り方」を問い続けてきました。
そして2019年、他分野のスペシャリストたちと共に、新たな人財開発プログラム「マインドフルカフェ」の活動を開始しました。2019年1月9日COHSA SHIBUYAにて行われた「マインドフルカフェ幕開けイベント」
ショートムービー
塚本と共にマインドフルカフェを提供するメンバーは、組織開発のコンサルタントであるAKIこと野口 正明(のぐちまさあき)さん、長年ライターとしてたくさんの人生に触れた経験から「自分史」をメソッドとして広める柳澤 史樹(やなぎさわふみき)さん、そして、心理学を教える竹田 葉留美(たけだはるみ)さんからなる合計4名のユニット。
4人はそれぞれ「個が社会で活かされるためには?」という共通の問題意識を抱えながら、異なる分野でキャリアを重ねてきました。同じ問いを追求してきたもの同士が互いの知見を持ちより、ほかの誰かの「在り方を整える」お手伝い、それがマインドフルカフェのプログラムです。
マインドフルカフェは「橋」
じぶんがどんな個であるかを示す「Being」と、じぶんと社会の接点が何かを意味する「Doing」、両者は自分自身の中で良いバランスを保てているでしょうか。
さまざまな人がいることを前提に、じぶんのBeingとDoingのあいだに「橋」をかける。マインドフルカフェがめざすのは、自分自身の自発的な向上です。
ちなみに、この数年あらゆる場で語られるようになった「マインドフルネス」という概念は、元々ハーバードの研究者であるエレン・ランガー博士が「物事の新しい側面に能動的に気づくプロセス」と定義したもの。まさに、個人の目線と、社会における個の在り方の創発性を示しています。
基本的にマインドフルカフェのプログラムは、「わたし」「わたしとあなた」「わたしたち」という3段階構成。それぞれのストーリーを繋ぎながら、普段はあまり意識していないことに向き合うワークも行います。
先日は日本屈指の大企業であるソニー本社でも、マイドフルカフェのショートバージョンを開催いたしました。ちょうどソニー本社の「学びと成長の場」PORTでは、 社員の 自発的な活動として、個々人の”人生のミッション”を探すコンセプトで「Mission Lab(ミッションラボ)」という学びの場が定期開催され始めたところで、企画運営をされている大村信夫さんと吉田聖さんのご協力でこの場が実現。お二人が驚くほどご参加者に好評いただき、おひとりからは、このような言葉をいただきましたので、ご本人のご了解の元ご紹介させていただきます。
これだけ短時間なのに、イメージする在り方と行動を繋げる経験ができて驚きました。わたしは自分のなかで考えることが多くなりがちで行動に移すことは少し苦手なのですが、今回のワークを思い出して、自分の在り方と行動を繋いでいきたいと思います。
わたしたちは、受講者の心理学的な効果も分析することにしていますが、こうして自分ごととしてとらえる感想はなによりのギフト。講座の終了後、たくさんの質問や感想を寄せながら会場に残って話しかけてくださる方の明るく晴れやかな表情を見ていると、私たちのマインドフルカフェのコンセプトをしっかりお伝えできたと実感します。また「カフェ」と名乗っているとおり、オープンで、快適な場作りを重視しています。
マインドフルカフェは、個の「在り方」を目覚めさせると同時に、その「在り方」を日々の仕事やお客様とつなぎなおす。また、新たな側面を発見した個が、本質的な目標を達成していくことの助けとなる人財開発プログラムです。
組織づくり、チームビルディング、または自己啓発や自己鍛錬といった機会をお探しのかた、マインドフルカフェがお手伝いさせていただきますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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毎日の食をより豊かで楽しいものに、という思いを持ち、企業における社員食堂をご提供しているel&sは、多様な視点を自然の中で感じていただける体験型の研修もご提案しています。農家さんを訪ねる「フィールドワーク」や「社員研修」、食に関する知識を増やす「食育」や「マインドフルネス」といった実用的なワークを含めたプランニングも多く、ご好評をいただいています。
日常に、やさしい変革を
「サラダレボリューション」el&sとお付き合いのある都内近郊の農家さんから、スケジュールやイメージに合わせて最適な体験先をご案内しています。いずれも、都心から1〜2時間の距離でありながら手つかずの自然があふれ、どこか懐かしさもあるスペシャルなところ。畑ではどうぞリラックスして、いつも食べている野菜や食のあり方に思いを向けてみてください。
毎日農家さんは畑でなにをしているのか、
収穫前の野菜はどんな表情なのか。
タネが育ちやすい土の手触りを感じたり、
雑草と呼ばれても生える草の意味を考えたり。きっと色々な質問が浮かんでくると思います。どうぞできる限り質問されてみてください。農家さんたちも喜んで答えてくれることでしょう。
「つくり手」と「受け手」が
太陽と土の上で一緒に感じるサラダレボリューションは、食のつくり手である「農家」と、食を召し上がる「受け手」、そして両方をつなぐ料理の「つくり手」、この三者を循環するようにお繋ぎすることを提案しています。
el&sは、移動や宿泊など研修全体のコーディネートと同時にお料理をつくる立場となって、まずは野菜が育まれる場所=畑を実体験の場としておすすめしています。太陽と土という環境下で、野菜を知って、触って、食べる、という一連の体験を通して、食と社会と自分を繋げていただくお手伝いです。
農家さんの数だけこだわりの栽培方針があり、それぞれがどこかで誰かの命をつくっている。そう考える私たちは、野菜を「土と太陽による恵み」と定義し、自然界の循環でできた「旬」を活かし、野菜本来の味を集約させてお料理をつくっています。
サラダレボリューションが
築くのは「あたらしい繋がり」
普段はそれぞれの担当業務に一生懸命の社員さんたちだからこそ、畑にいる時間は普段とは違うコミュニケーションができ、同僚同士の仲も深まるようです。畑で共に作業し、おいしいご飯を分けあって、そこで感じたことを話し合うシェアリングの時間。また、ご希望があればグランピングが可能な施設や、古民家をモダンに改装した場所を活用いただく合宿型のワークショッププランも承っています。
土に触り、野菜を食べるといった五感をフル活用したことで感じた喜びは、感情や言語化を必要としない本質的な気づきです。便利で整った都市部では「気づく」ことや「気に留める」ことをせずとも暮らしが成り立ちますが、自然の中ではあちこち気に留まることがたくさんあり、皆さんの体は「気に留めること」を思い出す。そうして普段の仕事や暮らしの中でも「気に留める」ことが増えると、いつしか社会を見る目にも変化が起こり、未来を明るく楽しもうという気概が備わりやすくなります。
個人の心に変化が起こり、社会をより良いものにする食。
私たちはそれを、優しくも確実な革命だと信じています。
オフサイトミーティングや研修として
自然の中で行う、こうしたご希望にお応えしています。・土に触れる、農作業を体験するなど「アーシング」で癒しを取り入れたい
・日常の環境から離れた場所で、仲間・チーム・同僚の絆を深めたい
・農家さんと交流してみたい、新鮮な野菜をその場で味わいたい
・思い切り五感を使った食事をしてみたい
・都市の喧騒から離れた静かな環境でマインドフルネスや内省の時間を体験したいその他、様々なご要望に対してカスタマイズが可能です。
まずはお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせくださいませ。 -
神奈川県川崎市に本社を構える伸和コントロールズ株式会社(以下、伸和コントロールズ)は、半導体やディスプレイの製造過程で使用される精密温調装置の開発・生産を行うメーカーです。
そんな最先端の技術を追求する伸和コントロールズが、「つながり」をコンセプトに社員食堂をリニューアルしたのは2018年春のこと。業務委託という大変光栄なオファーをel&sにしてくださいました。
少人数の社員食堂で「オーガニック」にこだわった理由、食堂開設までのプロセス、導入後の様子などを、
ご担当である「社員食堂委員会」の向山優樹さんにうかがいました。最高のアウトプットのために
最高のインプットを2017年3月、伸和コントロールズは川崎市に本社を移転しました。本社に勤務する社員は30名ほどです。一般的にこの社員数で社員食堂を設けるのは難しいこと。なぜなら少人数ゆえに委託する業者がなかなか見つからないからです。けれども、幸島宏邦社長の社員を思う“心意気”が、常識を突破する原動力となりました。
「長野と長崎にある事業所には社員食堂がありますが、本社にはありませんでした。ですので、本社に勤務する社員のほとんどは、お弁当を購入していました。市販のお弁当は、どうしても揚げ物が多かったり、野菜不足になりがちですよね。そんな社員のランチ事情を見かねた幸島社長の『社員には日頃から身体にいいものを食べて健康でいてほしい』『最高のアウトプットのためには最高のインプットを』という思いが、社員食堂を導入するきっかけとなりました」
『世界一の社員食堂』の記事に
コレだ!と直感社員食堂プロジェクトを始めるにあたり、向山さんはまず社員の声を集めることにしました。
「手作りの心のこもった食事が食べたい」
「地元の野菜が食べたい」
「社員食堂をコミュニケーションの場として活用したい」
寄せられた多くの意見から社員一人ひとりの期待が感じられます。そんな思いに応えるべく、向山さんは徹底したリサーチを開始します。「最初からオーガニックというキーワードがあったわけではないのです。少人数でも手作りの食事を提供してくれる会社をネットで探していました。けれど、なかなか思うような情報がヒットせず……。半ば諦めかけていたときに、スマートニュース株式会社の『世界一の社員食堂を目指して、SmartKitchenオープン』の記事にたどり着きました。しかも、『困難を極めた、30人規模からの社食導入』というコピーが踊っているではありませんか! 瞬時に、コレだ!と、直感しました」
オーガニックを追求した
コンセプトに深く共感それからの向山さんの動きに、迷いはありませんでした。
仕事の取引先があるアメリカのポートランドと日本を行き来し、オーガニックの食事情に詳しい社員の入江大樹さんとともに渋谷のdaylight kitchenを訪れ、オーガニックに特化したコンセプトを実感&共感。すぐに、社員食堂委員会のヘッドであり食に対する深い思いを持つ山本拓司本部長に報告し、代表の塚本との打ち合わせへと話を進めていきます。
「できるだけ無農薬の野菜を使い、保存料や化学調味料、冷凍素材に頼らず、手間を惜しまず、最高の食事を提供したい、という山本が社員食堂に望む要求は、el&sの塚本さんが実践しているコンセプトが完璧なまでに実現していました。さらに、少人数の社員食堂にも対応しているという実績もあるので、安心して業務を委託することができました。
蛇足ですが、我が社は文化活動にも力を入れていて、年に2回クラシックのコンサートを開催しています。会社内にグランドピアノがあるのですが、daylight kitchenの店内にもピアノがあって、聞けば塚本さんはミュージシャンでもあるとのこと。食だけでなく音楽という共通項があったこともうれしかったです。もし、社員食堂の案件が成立しなかったとしても、仲良くしていただきたいなと思いました(笑)」つながりを大切にした
社員食堂『en-kitchen』が誕生いよいよ、オーガニックの社員食堂プロジェクトが始動することになり、伸和コントロールズ社内に『社員食堂委員会』が設置されます。
「業務委託をしたからお任せ、ではなく、社員の意見を集め、自分たちの食堂を自分たちで作りたいと思いました。まずは、社員食堂のコンセプトとネーミングから着手。委員会のメンバーが100個近くのアイデアを持ち寄り、検討を重ね、最終的にコンセプトは『つながり』、名前は『en-kitchen』に決まりました。食堂を、ただ単に昼食を食べる場所で終わらせるのではなく、社員、お客様、地域、家族、文化、自然など、あらゆるものごととの『つながり』を思い出したり、再確認する場所にしたいという思いを込めました」
ハード面でも社員の意見を積極的に取り入れています。たとえば、「落としたら割れる食器でご飯を食べたい」というリクエストに応え、事業所のある長崎が産地の波佐見焼きのご飯茶碗を採用したり、照明は心が落ち着く暖色系にするなど、細部に至るまでの配慮がなされているのが印象的です。ビーガンメニューの
Meat Free Mondayが大好評さらに話題となっているのが、毎月第一月曜日と第三月曜日に開催している『ミートフリーマンディ(Meat Free Monday)』。動物性の素材を使わないヴィーガンのメニューが登場します。オーガニックにこだわった社員食堂、というだけでもエッジが効いているというのに、さらに時代の最先端であるヴィーガンを取り入れるとは驚きです。
「元ビートルズのポール・マッカートニーさんが提唱する『ミートフリーマンディ(Meat Free Monday)』にインスパイアされたのがきっかけです。持続可能な社会のために、肉や卵、牛乳など動物性食品の消費のことを考えなければならないことを学びました。また、環境問題のことだけでなく、海外のお客様にベジタリアン(菜食主義)の方が多いことも導入理由の一つです。多様な食文化や習慣を自分たちの身近なところから理解することは、とても大切なことだと感じています」
お肉を食べないとスタミナが持たないのでは? 満足できないのでは? 野菜だけでは物足りないのでは? など、初めのうちは疑心暗鬼だった男性社員も、車麩のフライや季節野菜のパスタなどを平らげ、「おいしい!」「味もパンチがある!」「いい意味で裏切られた!」と、月に二回のヴィーガンメニューを楽しみにしているそうです。
日々、進化し続けながら
あらゆるポテンシャルを開花時計の針が12時15分を回ると、ひとり、またひとりと社員の皆さんが食堂に集まってきます。午前中の仕事を終えた安堵感も手伝ってか、本日のメニューを覗きこむ表情がふっと柔らかくなります。トレイを手にご飯をよそってテーブルの席につき、「いただきます」。ランチタイムが始まりました。そこには、街中のランチシーンにありがちな、騒々しさや忙しなさは微塵もなく、穏やかで楽しげでアットホームな雰囲気が流れています。
「食堂開設当初は、男性テーブル、女性テーブルというようになぜか別れて、ややぎこちない感じがありましたが、少しずつみんなが交流できるようになっていきました。今では、取引先のお客様を社員食堂にご招待することもあり、とても喜ばれています」
伸和コントロールズのイノベーティブな取り組みは、始まったばかり。社員食堂委員会は、常に社員の声に耳を傾け、コンセプトである『つながり』を具現化し、仕事における“最高のアウトプット”を目指しています。
「食事の内容も食堂の雰囲気もとても気に入っていますが、満足して終わりではなく、日々、進化させていきたい。たとえば、ファミリデーを設けて農家さんと交流の場を設けたり、料理教室を開いたりして、en-kitchenを中心に家族や地域、社員同士のつながりを広めていきたいと思っています」
文中・写真に登場してくださっている伸和コントロールズ株式会社の方々
代表取締役社長 幸島 宏邦 氏
アメリカ・ポートランドのフードカルチャーに詳しい 入江大樹さん
社員食堂委員会のメンバー
山本拓司さん、蟹澤正知さん、向山優樹さん、角田ゆりさん、坂本麻美さん、今西克弥さんご協力、有難うございました。
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